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2005年12月16日 (金)

「スーツアクター」という言葉(2)

アクション練習中
アクション練習中。右が横山AC監督。

《スーツアクター》という言葉は嫌いです

と言ってはばからない横山アクション監督。
キャラクターのスーツ(着ぐるみ)を着てアクションや演技をする人が、「スーツアクター」と呼ばれるようになったのは、もともとアクションマン萌え(?)の同人誌が始まりだったと聞いてます。その言葉には、かれらの働きは単なる“アクションマン”や“スタントマン”にとどまらないぞという愛が込められている。
けれども、逆にいえばそこには、アクションやスタントを“演技”と天秤にかけて、「単なるアクションやスタント」と軽んじる意識がふくまれていると言えなくもない。

初日の前田さん
撮影初日を迎えて気合いの入る前田さん@1号ライダー。
アクト(演技)はアクター(俳優)に、アクションはアクションマンに、スタントはスタントマンに。

横山さんが求める方法論とは、そういうプロフェッショナリズムだと思います。何が上で何が下とかじゃなくて、それぞれが自分の職分を最大限に、誇りを持って果たすこと。

AC練習中
黄川田さん@本郷猛がマークさん@2号相手に練習中。真剣!
『THE FIRST』では、微妙な演技が要求されるシーンで、俳優さん自身がマスクをかぶって演じたくだりが多々あります。マスクをかぶっての演技は俳優さんも馴れてない。スーツを着ているアクションマンが演技力にとぼしいわけでもない。ただ、そのシーンの主旨によって、より適材適所な人間がそのキャラクターを誇り高く演じようということ。

横山さんは、技術にうるさい人だけに、とかくワイヤーワークを中心とした技術的側面だけで注目されがちではありますが、実際には“誇り”をベースとした人間的熱さが横山アクションの最大の魅力であると思うのでした。

12月 16, 2005 メイキング | | コメント (3) | トラックバック (5)

2005年11月26日 (土)

「スーツアクター」という言葉(1)

渋谷TOEI
初日。満員の渋谷TOEI。
渋谷TOEI
フォトセッション中の登壇メンバー。
渋谷TOEI
これが噂の「赤いマフラーが劇場いっぱい」です。

ファーストランの予定が終了。

もともとの予定では、昨日をもって千秋楽。でも本当におかげさまで、上映期間を延長する劇場や、新規に上映する劇場が続出!(→上映館情報
うっかり見逃してしまった方、もう一度観たい方は、この機会にぜひ!

ホントに皆さまのおかげです。せっかくなのでこのブログも、もう少し頑張って更新してみます。
じつはネタだけはいっぱいあるんですよね。厳粛な気持ちが前に出すぎたみたいで、「あんたの文章が硬すぎて、うかつに書けないじゃないか」と、他のライターからも不平が出てます。というわけで今回からはぶっちゃけモード。(^^;

ところで、このブログにお越しの方は、どんな気持ちで来てるんだろ?
と手がかりをつかむのに便利なのが、ココログ(このブログのホストです)のアクセス解析機能。
どういうワードやフレーズを検索して、来てくれたかがわかるのです。
言うまでもなく、「仮面ライダー THE FIRST」でお越しの方が多いのは当然ですけど、なかには「池脇千鶴」さんを検索してたどりついた方も数多くいたりして涙をそそります。役に立たない記事でごめんなさい!

と、まあこのようにココログの機能に助けられ、叱咤激励されながら、やっていきたいと思う今日この頃ですが、嬉しかったのがこの検索ワード。

マーク武蔵

マーク武蔵 マーク武蔵さんは、『Sh15uya』のピース役でおなじみ。って、『Sh15uya』がおなじみじゃないっすね(笑)。いま現在は『GARO』でも大活躍されています。
アクション監督横山さん率いるアクションチーム AAC のメンバーで、この映画では2号ライダーのスタントマンをお願いした方。

じつは「お面」をかぶってのお仕事はこれが初体験。
ご本人は、絵に描いたような好青年で、とにかく人がいいのです。アクションはピカ一だからこその横山AC監督の起用ですが、たとえマスクに顔を覆っても、全身からにじみ出る人の好さは隠せない。ちょっとニヒル(死語)な2号と、なじまないと言えばなじまないところもあるくらいに!

とにかく人に愛されるマークさん。「マーク武蔵」で検索されるのも当然。
もっともっと注目されていい人です!

11月 26, 2005 メイキング | | コメント (1) | トラックバック (4)

2005年10月30日 (日)

戦う録音部!

録音部 戦うのはキャストばかりではなく。スタッフにはスタッフの戦いがあります。

たとえば録音部───
「戦う」ってのは比喩じゃなくて、たとえば録音部七つ道具の中に「水鉄砲」があったり。セミや鳥がうるさいとき、これで戦いを挑むわけですね。(^^;

そんな彼らの戦いのひとコマ。


猫! 強敵あらわる!
甘えん坊の猫。いっぱい人がいて楽しいにゃ。ここが好きだにゃ~。
休戦の申し出 「まあ、話せばわかる。な?」
とりあえず休戦を申し出てみる阿部さん@録音部。
休戦の申し出 一瞬の隙をついて、敵の弱点を徹底的に攻めまくる!
「ゴロゴロ、降参だにゃ~」と言わせたときには、すでに現場からかなり遠ざかってます。(^^;
※ 本番中
敵機来襲 航空機はいつも最大の敵!
(ホントに「敵機」といいます)
敵機来襲 セットの脇でも ProTools。
録音の合間に、寸暇を惜しんで整音を行なう室薗さん@録音部。

というわけで、撮影現場から仕上げまで、サウンドのすべてを一貫して手がける室薗さん
通常の映画では、いわゆる音声さん(現場でセリフなどを録音するパート)ミキサー(最終的に音楽や効果音と合わせてサウンドトラックを完成させる)とを、別の人が担当するケースが多いのですが、この映画はいわばトータルサウンドデザイン志向。ひとつひとつの「音」を大切にする姿勢が、他の映画とはひと味もふた味も違います。

あらゆる音を録る! キャストが演技の上で、ふと溜め息を洩らすなら、その微細な音も逃がさない。サイクロン号のエンジン音ひとつとっても、音のためだけに何度もバイクを走らせる。
後でアフレコもするし効果音もつけます。
でもそれも、現場で録れなかったから仕方なく、という「逃げ」としての音ではいけない。すでに録音してある音より、さらにいい音にするための「攻め」の音でなければならない。そのためにも、まず現場から「最高の音」を録音するべく勝負を挑む。

つねに攻める! 戦う!
そんな超攻撃型スタッフが、『THE FIRST』の録音部でした。


そうした録音部の提案で、サラウンドシステムには大作邦画をも越える DOLBY DIGITAL Surround EX を採用。映画館狭しと縦横無尽にバイクが駆けめぐります!
身びいきを除いても、日本映画最高峰のサウンドがお届けできると確信しています。

10月 30, 2005 メイキング | | コメント (6) | トラックバック (12)

2005年10月 1日 (土)

無駄に血が騒ぐ!(造型秘話)

仮面ライダーができるまで

東映ヒーロー35年の歴史で、初公開(!)かもしれないトピックです。

原型チェック

2005年2月、頭部原型チェック

マスク形状を完成させていく作業です。写真は、原型師の小松さん@レインボー造型企画。
眼の大きさ・複眼の構造・クラッシャーの角度等々が、ミリ単位で検証されていきます。
それにしても、なぜいきなりマフラー?!

眼とマフラーを大事にしたい!
という長石監督の意向は、最初から明確でした。
マフラーだけでも、風になびく・アクションの邪魔にならない・もったりしない・色あい・長さ・形・素材感・透明度……等々、検証ポイントは山のようにあります。そこで、早期からマフラーの素材選びをスタートしたのでした。

フィッティング

3月上旬、フィッティング

何度も何度も、数え切れないくらい何度もやった作業の、これは3回目くらいでしょうか。

ようやく《スーツ》らしき形になり、1号役・前田浩さんと2号役・マーク武蔵さんが着始めたとたん、「カッコいい!」と思わず声を上げる武部プロデューサー。
「マスクがなくても、もうこれだけで!」
東映の長い禁忌を破るきっかけとなった一声。(*1

フィッティング 革製に見えますが、実際にはビニールに近い素材です。
ナイトシーンが多いので、ハイライトをはっきりさせること。肉眼で見る本革のカッコよさを映像で再現すること。マスクやコンバーターラング(胸パーツ)、ベルトといった固いパーツとなじませること。……数々の条件から、本革よりもテカリの強い素材を探しています。
それを「カッコいい皺が寄り、カッコ悪い皺が寄らない」ように縫製するために、縫製部隊は血のにじむような努力をはじめます。

カメラテスト

3月下旬、カメラテスト

ライダースーツがほぼ完成に近づき、カメラテストが行なわれました。
現場にライダーが登場すれば「おお!」。モニターを見ては「おお!」。
いちいち歓声を上げて大盛り上がりのスタッフ。
このとき、誰からともなく言い出された言葉───「無駄に血が騒ぐ」。
「俺たちは『仮面ライダー』をやるんだ! どうしてこうまで、無駄に血が騒ぐんだ!」

あの」仮面ライダーだったものが、「この」仮面ライダーになった瞬間でした。

撮影部 そんな騒ぎをよそに、真剣な表情を崩さないのは、田中一成カメラマン以下撮影部。
「1号の青・2号の緑」を、最も渋く・カッコよく、フィルムに定着させる設定を探り出すのが彼らのミッション。田中カメラマンがOKを出すまで、カメラテストは3回に及びました。

造型についても、まだまだ試行錯誤がつづきます。
たとえば、マフラーひとつにも駄目出しが。「縫い目が気になる」と、監督の鶴の一声───縁がほつれないようにステッチ仕上げしていたのがNGと。
最終的には、シーンごとに違うマフラーを用意することに!

4月上旬、俳優用スーツフィッティング

黄川田将也""
高野八誠""
縫製法はおおむね完成しているので、最初からかなりバッチリ決まります(写真は2回目あたり)
それでも、さらにやり直すこと3・4回。襟にせよ肩にせよ、調整ポイントはいくらでもあり……。

本郷猛役・黄川田さんのフィッティングに立ち会ったスタッフからは、「そんなバカな!」と一斉に声が。
バイブルとして、みんな原作コミックを持ち歩いていた時期。
「マンガみたいな理想的な体型なんかねーよ! と思ってたのに、ホントにいるなんて……!」

横山アクション監督の指導による、俳優さんのアクション練習もスタート。
キャストもスタッフも、緻密かつ無駄に血を騒がせながら、怒濤のようにクランクインに向かっていくのでした。


*1)
スーツアクターがマスクを脱いだ姿や、制作途中ををお見せ「しない」のは、東映が守りつづける永遠のタブー。

夢を壊すから」というのがその理由です。
(もちろん、スーツアクターさんのお顔が夢を壊すわけもありません。スーツアクターさんは、ふしぎなほど男前&美女ぞろいなのです)
まず、変身前の俳優さんと別の顔がそこにあるショックが大きいこと。知識として知ってるのと、実際に目にするのとは大違いです。 そしてもう1つ、マスクを脱いだ姿がいまいちサマにならないこと。これは当たり前。だってヒーロースーツは、マスクと一体となって初めて1つの《キャラクター》として完成するようにデザインされているのですから。

ところが、原作コミックにも頻出するとおり、仮面ライダーはもともと、マスクを脱いでもカッコいいデザイン。
そうした、本来の仮面ライダーの魅力を最大限に出していくのが本作のテーマですし、《仮面をかぶる》ことにこだわる以上、《脱ぐ》ことにもこだわります。

本作に限り、東映の鉄則をあえて破ることをご了承ください。

10月 1, 2005 メイキング | | コメント (7) | トラックバック (21)